FTMに男性ホルモンを投与した後は、骨はどのようになっているのか?

対象1:性適合手術(SRS)子宮・卵巣摘出を行った15人のFTM
投与した男性ホルモン:テストステロン250mg 2週間に1回
結果:海綿骨の構造は、問題なし。11人の健康な男性と8人の閉経した女性より骨代謝は低く、皮質骨は厚くなっていた。
※海綿骨は骨の中、皮質骨は骨の外側。

対象2:10人のケース
本来の性ホルモンである女性ホルモンは低下していたが、長期の男性ホルモン治療後でも、男性ホルモンによる骨の影響はなかった。

対象3:35人のFTMで、男性ホルモン治療1年後の結果。
骨密度においては、エストロゲンの緩やかな低下をみられるだけで、何も所見がなかった。

対象4:19人のFTMを対象にし、テストステロン250mg、2週に1回投与。男性ホルモン治療を13~35か月の経過時点で、
ALP…最初の1年で上昇
骨密度…最初の1年で変化なしも、28~63か月で低下していた。卵巣は摘出しているFTM。
骨密度が低くなるにつれ、LH(卵胞刺激ホルモン)、FSH(黄体化ホルモン)の血中濃度は上昇していた。LHの上昇は、骨密度の低下を予測できるものと考えられる。
男性ホルモンを使用しているので、エストロゲンが減少しているために骨量が維持できない。
※LH(卵胞刺激ホルモン)…脳下垂体から分泌されるホルモンで、通常は卵巣に刺激しエストロゲンの分泌を促進させる。性適合手術をして卵巣を摘出していても、LHは分泌されたりする。

*LHの上昇は、骨密度の低下を予測できる可能性がある。

※コメント
上記の4つの研究においても、さまざまな結果が出ます。条件が違うので、結果も違ってくることもあります。なにも所見がないレポートは、1年以内の短期間の研究調査で、骨密度が急激に減るなどの変化はないからだと思います。

日本では、テストステロンのデポー製剤がよく使われていますが、最近の研究報告は、男性ホルモンがネビドによる報告が増えてきています。そのため、論文を見る上では、少し古いものを汎用して治療することになるかもしれません。日本のGID治療における男性ホルモン治療は少し古くなりつつあるのかもしれません。

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