ネビドを使うFTMが多くなっている理由
男性ホルモン治療は、男性化に欠かせない、性転換へのスタートラインに立つ治療の1つです。
男性化にはほぼ必須である男性ホルモンですが、短期型と長期型があります。
FTMが使用可能な注射用の男性ホルモン
- 短期型:エナルモンデポー、テストロンデポー、テスチノンデポー
- 長期型:ネビド
その他に、男性ホルモンの飲み薬がありますが、肝機能に支障をきたす可能性が高いため、お勧めできないくすりです。
短期型からネビドに移行するメリット
FTMの男性ホルモン治療に使われるネビドは、緩やかにホルモンが吸収するため、注射する間隔が短期型に比べかなり長くなります。
当クリニックでも、約100人以上の方がネビドを経験しています。
ネビドの副作用
ほぼ短期型と同じで、むしろ短期型に見られる男性ホルモン血中濃度の急激な落差がないので、急にホル切れ(ホルモンが切れること)がありません。そのため、ホルモンが欠乏した状態である、いわゆる更年期症状、イライラすることもなく、症状的にも安定しています。
FTMに使うネビドの効果は、約1年くらいの経過観察したレポートしかなかったのですが、今回は、ネビドを3年間治療したことによる身体の生理的変化などをレポートしたものをお届けします。
ネビドの医学論文要旨
性ステロイドの血液濃度の基準値のデータや内分泌機能検査における反応は、同じ性として考えるなら違いはない。
男性ホルモン治療は、FTMの治療の1つで、通常最初になる治療であることが多い。そして、飲み薬ではない男性ホルモンが使われることが一般的である。
内分泌のデータの結果、心血管系のリスク要因などが今までにいろいろ報告されている。
生殖器に及ぼす影響以外では、男性ホルモンによる治療の生理的変化は、むしろ低男性ホルモンの男性が受ける治療と似ている。
ネビドは筋肉注射用で、2004年より男性の男性ホルモン低下の性腺機能不全に使用できるようになった。
FTMの男性化の維持には、続けて男性ホルモン治療を続けなければならない。それは、性別適合手術(SRS)の前後ともに必要であろう。
性別適合手術(SRS)は、卵巣を摘出してしまうため、ホルモン治療をしないと骨粗鬆症のような性ホルモン不足による病気を生じさせてしまう。
FTMの男性ホルモン治療において、ネビドの使用についてのいくつかの報告がある。FTMの男性化の目的で使うことができるのかの?、または安全性に関しての報告であった。これらの研究は、1年と限られた経過しかされていなかった。
今回の研究報告は、3年間ネビドを使用した結果、そのメリット、副作用についていくつか報告するものである。
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☞今回海外医学論文は・・・
Safety aspects of 36 months of administration of long-acting intramuscular testosterone undecanoate for treatment of female-to-male transgender individuals