執筆者:性同一性障害(GID)学会認定医 大谷伸久

FTMの胸オペの影響とそのボディーイメージ

FTMの現状の身体の不満足、男性への肉体改造の切望は、医学的治療を受ける上でも大切なモチベーションになる。

性同一性障害gidのFTMの目的の1つは、男性ホルモン(テストステロン)治療で肉体的に男性的特徴を近づけることにある。

男性化するためには、男性ホルモン治療を必要とされるが、ほぼすべてのFTMは、より男性らしい胸を希望している。それぞれが、違った希望があるものの、現状の胸部の不満足はかなり高いものである。

このことは、MTFでも同じことが言える。MTFは、彼女らの生殖器(ペニス)、小さい胸に対して不満足を持っていることからうかがえる。

胸オペをする目的

胸部を男性化するための目的は、次の4つに集約される。
①乳腺と過剰なたるみを除去することにより胸部を修正する。
②乳首、乳輪を縮小し、適切な大きさにする。
③アンダーバストのひだをなくす。
④手術したことがわからないように胸部のキズを少しでも小さくする。

いくつかの効果的な手術手技が有効であり、乳房の大きさによって、手術方法を決めるアルゴリズムが発表されている。
余剰な皮膚を生じないタイプには、乳輪下半周を切って、アプローチする方法。

この方法で余剰な皮膚が生じるようであれば、アンダーバストに長いキズができる方法があり、下垂が重度であれば、乳輪を移行しないといけない場合もある。

FTMのボディーイメージは、肉体的、精神的な要因からなり、外見、社会的規範に影響する。精神的な要素は、身体の理想像、身体の満足度などの認知、感触、体型などから構成される。

ポジティブなボディーイメージを持つことは、人との関係、性的関係をより満足にさせ、一般的な人々の生活の中での生活の質を改善させる。

身体の満足度をもとに、ボディーイメージを点数化した研究が報告されている。手術治療前のFTMは、身体に不安感を持ち、一般の男性、女性に比べ、活動能力が低い。しかし、手術後には、そのようなことがほとんどなくなる。→身体の満足度とボディーイメージ

身体の満足度において、手術治療はポジティブな影響を与える。ただし、各々の手術に対する影響はわからないが、傷跡が目立つ方法は、不満足なことが多い。

【胸オペ関連サイト】
FTMにとっての胸オペするメリットとデメリット
FTMにおける胸オペの長期成績結果
FTMにおける胸オペの手術適応とテクニック

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。

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