GID/FTMの男性ホルモンとがんの関連性

男性ホルモン治療開始後1年以内に、両側乳腺摘出(胸オペ)、子宮、卵巣摘出を行った患者については、男性ホルモンに関連するであろう発症したがんはいなかったことは、特記すべきことであった。これらの器官で、男性ホルモンに関連するがんの発症率はかなり低いとされている。

しかしながら、卵巣摘出前に男性ホルモンを治療していての卵巣がんの発症と同様に、男性ホルモンを長期に行っていたにもかかわらず、両側乳腺摘出後に乳がんを発症したケースが報告されている。

GID/MTFの女性ホルモンとがんの関連性

GID/MTFは、女性ホルモン治療している間に、ホルモンに関連するがんの発症はいなかった。いくつかのケースでは、プロラクチノーマ、乳がん、前立腺が報告されている。このようにして、女性ホルモンに曝露されている量と期間が長いとこれらに関連したがんを発症する可能性が高くなる。

たぶん、GID/トランスジェンダーは、医学検査、がん検診を行う上で、GID/MTFにおいては、前立腺検査のまたは、GID/FTMにおいては産婦人科の医学検査を受けるには、不快に感じるかもしれない。

これらにふさわしい検査、治療は、もちろんGID/FTM・MTFでも可能。

すべてのGID/MTFは、PSAレベルが正常値だった。1人は、女性の基準値から若干、プロラクチンが高かった。GnRH/月とエストラジオール・valerate6mg/日を投与していた60人のGID/MTFでは、プロラクチンの上昇は認めなかった報告があるが、月にcyproterone acetate100mg、1日にエチニル・エストラジオール100ug投与していたGID/MTFのグループにおいては、50%にプロラクチン上昇を認めたという結果が異なる報告もある。

MTFが女性ホルモン治療中にプロラクチンが上昇する時間的経緯と正確なメカニズムははっきりしていない。HRTの種類、容量は少なくとも、個々の薬剤の違いによるものかもしれない。

※コメント
気になったのは、普段診療していると、他の病気のときに医療機関を受けたがらないひとが多い気がします。特にFTMであれば産婦人科、MTFであれば泌尿器科などは、とても受診しにくいといえます。

慣れていない医療機関であれば、受付でまず本人ですか?とか、診察室に入れば、興味本位に外来の看護師がひそひそ話していたり…ということもあるようです。このような経験をすると次回から行きたくなくなりますよね。医療機関側ももっと素知らぬ降りして手続きしてくれればいいのですが。

Key word
  • エストラジオール・valerate6mg…日本では、商品名として、筋肉注射、プロギノンデポー、ペラニンデポーがある。規格は、5mg、10mgがある。

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Long-Term Evaluation of Cross-Sex Hormone Treatment in transsexual Persons
J Sex med 2012;9:2641-2651 (cancer)