背景
GID/MTFにおいて、以前の報告によると、ホルモン治療と影響についての短期間の影響については報告が多くあるが、長期間のホルモン投与による影響の報告はあまりない。

50人のGID/MTFを対象とし、性適合手術(SRS)を受けたもの、そして、平均10年のホルモン治療を行ったものを対象とした。特に女性ホルモンによる血管系についての報告。

MTFの女性ホルモンによる血管系への影響

GID/MTFは一般女性・男性に比べ、脳血管系の頻度が高かった。経口ピル(OC製剤)とHRT(エストロゲンとプロゲステロン)は、脳血管系のリスクが高くなることが知られている。タバコ、高コレステロール血症、高血圧症のようなリスク要因は、弊害をもたらす。

脳血管系疾患を患ったことのあるGID/MTFの大半は、遺伝的傾向、タバコ、高コレステロール血症を伴って女性ホルモン治療をしているので、リスクが高くなる傾向にある。

GID/MTFは、特にタバコは止めるように推奨される。多くのGID/MTFは、静脈血栓症、心血管系疾患の経験があるにもかかわらず、タバコを止めないひとが多い。

医療側の経験から、GID/MTFにとってタバコを止めるのは難しいだけでなく、健康的なライフスタイルにまで影響してしまう。重要なことは、高コレステロール血症と高血圧症のような心血管系疾患を引き起こすようなリスク要因には、注意を払う必要がある。

手術とあまり動かないことは、静脈血栓を発症させるリスク要因であることはよく知られ、性適合手術(SRS)の手術2週間前には、ホルモン治療を中止するとよいとされている。

しかしながら、MTFにおいて、手術前にホルモン治療をやめる必要性の明らかなエビデンスはあまりない。ホルモン治療を止める期間は、今のところよくわからない。

最近のホルモン治療では、エチニル・エストラジオールはもはや使わない。高い頻度で静脈血栓症になる可能性がある。

Key word
  • エチニル・エストラジオール…日本の商品名=プレキソール

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海外医学文献
Long-Term Evaluation of Cross-Sex Hormone Treatment in transsexual Persons
J Sex med 2012;9:2641-2651 (abstract)