MTFが女性ホルモン治療をしているとプロラクチンが上昇してくることがある。
プロラクチンは、脳の下垂体という場所から分泌されるが、過剰に分泌される病態をプロラクチノーマという。
プロラクチノーマの発症に関しては、ラットの実験によると多くの女性ホルモンを与えることによって引き起こすことができる。人間もエストロゲンによってプロラクチノーマを引き起こすが、よくわかっていない。
今回のレポートは、エストロゲン投与によって、プロラクチンの血中濃度が基準値内(正常範囲内)だったのにもかかわらず、プロラクチノーマを発症した26歳のMTFを報告する。cyproterone(日本未認可)、エチニルエストラジオール(プロセキソール)とエストラジオール筋肉注射を10か月していた。投与してからの10か月のプロラクチン血中濃度は、0.05~5.20(基準値0.05~0.30)であった。
CT検査では、下垂体が肥大していた。すべてのエストロゲンを中止し、0.77~2.8正常値付近までに戻ったが、プロラクチンの血中濃度は、6.2と上昇した。ブロモクリプチン(ドーパミンの1種)で治療を開始。
プロラクチン血中は、0.43まで下がり、治療後5か月後にはCT検査では下垂体は縮小した。ブロモクリプチンは中止した。
その後4か月後にエストロゲンは、正常値であったが、プロラクチンは、4.6と再度上昇していた。
結論として、1)エストロゲンは、薬理効果が現れる濃度で、プロラクチノーマを生じさせる可能性がある。2)高濃度エストロゲンがプロラクチノーマを引き起こすのか調査しないといけない。
治療でプロラクチンは下がったのもの、エストラジオールを再度投与するとプロラクチンは再び上昇しだした。
Estrogen-Inde\uced Prolectinoma in a Man
J.Clin End 68(2)444-446
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