性別適合手術(SRS)は、GID当事者にとって、医学的に必要なものであり、長期成績を見ても、精神的にも、肉体的にも満足を得ることができるとされている。

例えば、232人のMTFの大規模な調査で見ると、少なくとも性別適合手術(SRS)をしてから1年以内は、96%が手術に満足し、生活の質も97%が改善したという。

さらに、後悔したものほぼいなく、一部のMTFが過剰な美容整形などに後悔しているのみであった。また、MTF107人の調査では、豊胸した75%のひとが満足をしていると報告している。

これに対して、性別適合手術(SRS)後のMTFの性機能に関しての長期フォローについての報告はあまりないが一部紹介しよう。

性別適合手術(SRS)後6年から25年経つMTF13人の性的機能の影響に関するインタービューによると、このMTFの半分が、造ったヴァギナの機能に関して言えば、結局のところ失望したという。

他の報告では、MTF28人のうち半分の人が、性別適合手術(SRS)に自分のヴァギナにペニスを挿入でき、できなかった人たちは、ヴァギナが狭くて、細くてペニスを挿入できなかったという。

さらにほかの報告では、MTF22人中19人が、性別適合手術(SRS)後少なくとも1回は、ペニスのヴァギナへの挿入をしたが、ほぼ半分の人が、MTFのパートナーにとってペニスを挿入するのが難しかったという。

性的満足に関しては、2,3の報告がある。17人のMTFとそのパートナーからインタビューをした結果、13人のMTFカップルは、性的関係が改善し、1人は悪化、その他の人は、性的満足は低かった。その他の報告でも、MTF28人中半分、MTF10人中2人が性的満足度は低かった。

オルガズムに関してはどうだろう?これもいくつかの報告があり、29~70%のMTFにオーガズムを経験しているという。いくにんかは、性別適合手術(SRS)後よりオーガズムを感じるようになるも、一方に、オーガズムを得られないために性欲求不満を生じるものもいたという。

これらの具体的な頻度は、性別適合手術(SRS)後に、32%がオーガズムを得るのに困難はなく、32%は困難、18%はオーガズムがなくなり、残り18%がオーガズムに達するは無理だった。

このように結果はさまざまであるが、すべてが直接MTFからのインタビューをまとめたものであり、性別適合手術(SRS)後の期間なども含め条件もさまざまで、サンプルの規模も小さく、すべてが正確に反映しているわけではないことに注意されたい。

いつも読んでいただきありがとうございます。


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※コメント
今回は、イントロで終わってしまいました。この論文の続きは後日アップしたいと思います。

さて、MTFの性別適合手術(SRS)後の性的機能に関しては、なかなか本人に聞けないことですが、診療をしていると、術後からヴァギナが狭くなってきて、ダイレーションを入れることさえ困難で、次第に大きいサイズは無理になってしまい次第に小さいものへと移行してしまうし、ペニスを挿入するのが困難という声もちらほら聞きます。

まだ性別適合手術(SRS)をしていない、または、今後予定のある方も多くいます。性的なことはなかなか知りたくても知ることができない関心事の1つかもしれません。今後のために、規模は小さいかもしれませんが、当院に来ていただいている性別適合手術(SRS)を終わっている方に、すべてのMTFのひとに聞いてみようかと持っているのですが・・・。

☞海外医学文献
Psychophysiological and subjective sexual arousal to visual sexual stimuli in new women
Jour of Psycho Obste & Gyne,2005;26(4):237-244